人権デュー・デリジェンス Q&A
基礎編
- 人権デュー・デリジェンス(人権DD)とは何ですか?
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人権DDとは、企業活動によって従業員、取引先、地域社会などの人権に負の影響が生じていないかを確認し、その影響を防止・軽減・是正するための継続的な取組です。
対象は自社だけではなく、サプライチェーン全体に及びます。近年では、海外法規制や投資家、取引先からの要請を背景に、多くの企業が人権DDに取り組んでいます。一度調査を行って終わりではなく、継続的に改善を重ねることが重要です。
ポイント
- 人権リスクを継続的に管理する仕組み
- 自社だけでなくサプライチェーンも対象
- ESG経営や海外取引でも重要
- なぜ今、人権DDが求められているのですか?
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近年、企業には利益を生み出すだけでなく、人権を尊重した事業活動が求められています。欧州を中心に人権DDを義務付ける法制度が整備され、日本でも「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」が公表されました。
また、多くのグローバル企業では、取引先にも人権DDへの対応を求めています。そのため、人権DDは法令対応だけではなく、取引継続や企業価値向上の観点からも重要な経営課題となっています。
ポイント
- 海外法規制への対応
- 取引先・投資家からの要請
- 持続可能な経営の実現
- どの企業が人権DDに取り組む必要がありますか?
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人権を尊重する責任は、企業規模や業種にかかわらず、すべての企業に求められています。ただし、企業ごとに事業内容やサプライチェーンは異なるため、求められる取組の内容や深さも異なります。
特に海外取引を行う企業や製造業、小売業、建設業などでは、サプライチェーン上の人権リスクへの対応が重要になります。一方、中小企業でも、大企業から人権DDへの対応を求められるケースが増えています。
ポイント
- 大企業だけの取組ではない
- 企業規模に応じた対応が重要
- サプライチェーン全体を意識する
- CSRやESG、コンプライアンスとは何が違うのですか?
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CSRは企業の社会的責任全般を指し、ESGは環境・社会・ガバナンスの観点から企業を評価する考え方です。コンプライアンスは法令や社内ルールを遵守することを意味します。
一方、人権DDは、人権への負の影響を特定・評価し、防止・軽減・是正するための具体的なマネジメントプロセスです。CSRやESGを実現するための重要な取組の一つであり、単なる法令遵守にとどまらず、企業の説明責任や継続的改善が求められます。
ポイント
- CSRは「社会的責任」
- ESGは「企業評価」
- 人権DDは「人権リスク管理」
- 人権DDでは何を実施するのですか?
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人権DDは、企業活動による人権への負の影響を継続的に管理するプロセスです。一般的には、人権方針の策定、人権リスクの特定・評価、防止・軽減策の実施、効果の確認、情報開示、継続的改善という流れで進めます。
企業によって重点課題は異なりますが、自社だけでなくサプライチェーンを含めて人権リスクを把握し、改善を進めることが共通の考え方です。
ポイント
- 方針策定から改善まで継続的に実施
- リスクベースで優先順位を設定
- PDCAを回しながら改善する
実務編
- 人権リスクとは何ですか?
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人権リスクとは、企業活動によって人々の権利が侵害される、または侵害されるおそれがある事象を指します。代表的な例として、強制労働、児童労働、長時間労働、ハラスメント、差別、労働安全衛生上の問題、外国人労働者への不適切な対応などがあります。
ポイント
- 「人への影響」を重視する
- 業種や国によってリスクは異なる
- 定期的な見直しが必要
- サプライチェーンも人権DDの対象になりますか?
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はい。人権DDの対象は自社だけではなく、自社の子会社、原材料の調達先、製造委託先、物流会社、販売代理店など、事業に関わるサプライチェーン全体に広がります。
すべての取引先を同じレベルで調査する必要はありませんが、人権侵害のリスクが高い地域や業種、重要な取引先を優先的に確認する「リスクベースアプローチ」が推奨されています。
ポイント
- 自社だけでなく取引先も対象
- 高リスク分野から優先的に対応
- 対話と改善支援も重要
- 人権リスクはどのように評価するのですか?
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人権リスクの評価では、自社の事業内容や進出国、製品・サービス、調達先などを踏まえ、人権侵害が発生する可能性を整理します。そのうえで、「影響の深刻性」と「発生可能性」を基準に優先順位を決定します。
情報収集には、社内データ、従業員アンケート・インタビュー、サプライヤー調査、国際機関やNGOの情報などを組み合わせることが重要です。
ポイント
- 深刻性を最優先に評価
- 複数の情報源を活用
- 定期的に評価を更新
- サプライヤー監査は必ず必要ですか?
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必ずしも現地監査が必要というわけではありません。まずは自己評価アンケート(SAQ)や契約書等による確認を行い、その結果やリスク評価を踏まえて、必要な場合に現地監査や労働者へのヒアリングを実施することが一般的です。
重要なのは、監査を目的とするのではなく、人権リスクを把握し、改善につなげることです。
ポイント
- リスクに応じて監査を実施
- SAQや文書確認も有効
- 改善支援を重視する
- SAQ(自己評価アンケート)だけで十分ですか?
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SAQは、多数のサプライヤーの状況を効率的に把握するための有効な手法ですが、それだけで人権DDが完了するわけではありません。回答内容が実態と異なる場合もあるため、高リスクの取引先については、文書確認や現地監査、労働者インタビューなどを組み合わせて確認することが望まれます。
また、SAQは一度実施するだけでなく、定期的に更新し、改善状況を確認することが重要です。
ポイント
- SAQは人権DDの第一歩
- 必要に応じて監査やヒアリングを実施
- 継続的なフォローアップが重要
運用編
- 外国人労働者について注意すべき点は何ですか?
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外国人労働者は、言語や文化、制度の違いから、人権侵害のリスクが高くなりやすい立場にあります。そのため、人権DDでは重点的な確認対象の一つとされています。
企業は、採用時の過大な手数料負担、パスポートなど本人確認書類の保管、母国語での労働条件の説明、適正な賃金の支払い、長時間労働の防止、相談窓口の利用しやすさ、差別やハラスメントの有無などを確認することが重要です。
外国人労働者が安心して働ける環境を整備することは、人権尊重だけでなく、人材の定着や企業の信頼向上にもつながります。
ポイント
- 母国語で労働条件を説明する
- パスポートは本人が保管する
- 安心して相談できる環境を整備する
- 苦情処理メカニズムとは何ですか?
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苦情処理メカニズムとは、人権への負の影響を受けた人が、安心して相談・通報できる仕組みです。対象は自社の従業員だけでなく、派遣社員、外国人労働者、サプライヤーの従業員、地域住民などが含まれる場合もあります。
実効性を高めるためには、匿名で相談できること、相談内容の秘密が守られること、相談したことを理由に不利益な取扱いを受けないことが重要です。
また、相談を受けるだけでなく、原因調査や是正措置、再発防止まで適切に対応することが求められます。
ポイント
- 匿名性と秘密保持を確保する
- 報復禁止を明確にする
- 是正・改善まで対応する
- 人権侵害が見つかった場合はどう対応すればよいですか?
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人権侵害が判明した場合は、まず被害者の安全確保と被害の拡大防止を最優先に対応します。その後、事実関係を調査し、原因を分析した上で、適切な是正措置や再発防止策を実施します。
また、自社だけでなく、サプライヤーなど取引先で人権侵害が確認された場合も、直ちに取引を停止するのではなく、改善計画を策定し、対話を通じて改善を促すことが重要です。
企業に求められるのは、「問題を起こさないこと」だけではなく、「問題が起きた際に誠実に対応すること」です。
ポイント
- 被害者保護を最優先にする
- 原因究明と再発防止を行う
- 改善を支援する姿勢を持つ
- 人権DDの結果は公表する必要がありますか?
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人権DDの実施状況については、ステークホルダーへの説明責任を果たす観点から、適切な情報開示が推奨されています。
一般的には、人権方針、人権リスク評価の方法、重点課題、教育・研修、苦情処理メカニズムなどを統合報告書、サステナビリティレポート、企業ホームページ等で公表する企業が増えています。
一方で、個人情報や営業秘密など、公表に適さない情報については十分な配慮が必要です。
ポイント
- 人権方針を公表する
- 取組状況を分かりやすく説明する
- 継続的に情報を更新する
- 人権DDは毎年実施する必要がありますか?
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はい。人権DDは一度実施して終わるものではなく、継続的に改善していくプロセスです。
新しい取引先との契約、海外展開、法規制の変更などにより、人権リスクは常に変化します。そのため、人権リスクの評価やサプライヤー調査、教育・研修などを定期的に見直し、PDCAサイクルを回しながら改善を進めることが重要です。
ポイント
- 年1回を目安に見直す
- 重大な変化があれば再評価する
- 継続的改善を意識する
経営編
- 中小企業でも人権DDに取り組む必要がありますか?
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はい。企業規模に関係なく、人権を尊重する責任があります。ただし、大企業と同じ体制を整備する必要はありません。
まずは、人権方針の策定、労働法令の遵守、相談窓口の整備など、実施可能な取組から始めることが重要です。
近年では、大企業からサプライヤーに対して人権DDへの対応を求めるケースも増えており、中小企業にとっても重要な経営課題となっています。
ポイント
- 規模に応じた取組でよい
- 取引先から求められることが増えている
- できることから始める
- 人権DDを実施するメリットは何ですか?
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人権DDは、法規制への対応だけでなく、企業価値の向上にもつながります。
人権リスクを早期に把握することで、訴訟や風評被害などのリスクを低減できるほか、取引先や投資家からの信頼向上、人材確保、海外市場での競争力強化など、さまざまなメリットが期待できます。
人権DDはコストではなく、持続可能な企業経営への投資と考えることが重要です。
ポイント
- 人権DDを成功させるポイントは何ですか?
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人権DDを成功させるためには、経営層のコミットメントが欠かせません。また、人事、調達、法務、サステナビリティなど、関係部門が連携しながら全社的に取り組むことが重要です。
さらに、一度仕組みを作って終わるのではなく、事業環境の変化に応じて継続的に見直し、改善を続けることが、人権DDの実効性を高めます。
ポイント
- 経営層が主体的に関与する
- 全社横断で取り組む
- 継続的に改善する
- クロスボーダーコンサルティングではどのような支援を行っていますか?
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クロスボーダーコンサルティングでは、人権方針の策定から、人権リスク評価、サプライヤー調査(SAQ)の設計・分析、サプライヤー監査支援、苦情処理メカニズムの構築、教育・研修、情報開示まで、人権DDに関する幅広い支援を提供しています。
海外サプライチェーンや外国人労働者への対応など、企業ごとの事業内容やリスクに応じた実践的な支援を行っています。
ポイント
- 方針策定から運用まで一貫支援
- サプライチェーン対応を支援
- 海外ビジネスにも対応
- 人権DDは何から始めればよいですか?
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人権DDは、最初から完璧な仕組みを構築する必要はありません。まずは自社の事業内容やサプライチェーンを整理し、どのような人権リスクがあるのかを把握することから始めましょう。
その上で、人権方針を策定し、優先順位を付けながら段階的に取組を進めることが成功への近道です。必要に応じて外部専門家の支援を活用することで、効率的かつ実効性の高い人権DDを構築することができます。
ポイント
- 現状把握から始める
- 優先順位を付ける
- 継続的に改善する
人権デュー・ディリジェンスは、単なる法令対応ではなく、企業の持続可能な成長を支える重要な経営基盤です。
一方で、企業規模や業種、サプライチェーンの状況によって直面する人権リスクは異なり、画一的な進め方では十分な成果を得られないことも少なくありません。
クロスボーダーコンサルティングでは、人権方針の策定からリスク評価、サプライヤー調査、教育・研修、情報開示まで、企業の実情に合わせた実践的な支援を提供しています。
「何から始めればよいか分からない」「取引先から人権DDへの対応を求められている」といった場合も、お気軽にご相談ください。